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「掲示板での相談、閲覧・有料メールカウンセリング」の過程では、自我の防衛反応による混乱(興奮)が現れます。精神分析的アプローチによる「自我構造(こころ)の揺れ」です。その点に同意の上入室してください。



376 フラッシュバック? ちゃちゃ 2004/11/05 12:33
私は生まれてすぐ母が離婚したので実の父の記憶はありません。幼稚園のころ母が再婚しましたが、数年で父の暴力が原因でまた離婚しました。そこでうまれた子供は2番目の父が引き取りました。そのときの記憶はほとんどありませんが、家を逃げ出すときに父がすごい形相で暴力を古い、命からがら逃げてきたこと、逃げた先に、押し入ってきて暴力を振るって警察がきてやっとの思いで助かったこと、これしか覚えていません。
そして、祖母の家にお世話になって数年、私が小学校高学年のとき、母が私をおいていなくなりました。その前後の記憶がまったくといっていいほど欠落していました。中2のとき母が戻ってくるまでの間、一度だけ外で待ち合わせをして映画を見た記憶があるだけです。戻ってきてすぐ、母は家を購入し、2人で住むといいました。初めての夜は怖いからおじさんにとまってもらう、といわれ、知らない人がいました。そしてそのまま、その人が3人目の父親になりました。そこでも子供が生まれました。
最近母が末期がんでなくなり、その最後は3人目の父親も、子供もほとんど看病もせず、お金も出さず、ひどい有様でした。私がお金を払い、仕事もやめて看病しました。最後に、「今まで自分の好き勝手してきたことの報いだ、ごめんね」といわれました。
その後、親戚から母が昔私を捨てたときのことなどを聞き、そこから、今まで忘れていた記憶が時折、なんの脈略もなしに、よみがえってくるようになってしまったのです。死んだ母への恋しい気持ち、逆に恨みの気持ち、ごちゃまぜになって苦しくて。そして割るれていた過去が思い出される恐怖。
誰にも相談できず悩んでいます。
一番怖いのは、虐待の連鎖のように、母と同じように、私も子供を捨てるのではないか、という恐怖。これから私はどうしたらいいのでしょうか。病院へ入ったことはありません。どこに行っていいのかわからないので、、、
378 Re:フラッシュバック? kage 2004/11/05 21:07
さて、お話の背景を整理しましょう。あなたの母親の行動は、あなたに対してだけのものではないのです。
関係者全員の顔を思い出してみてください。
彼女に「男を見る目が無い」と言ってしまっては、それまでですが「最初の結婚を失敗した事」で十分それに注意を払っているのに関わらず(この人には暴力などの側面があるのでは?等という雰囲気は、心理学など勉強していなくても冷静であれば誰にでも容易に判断できます。)反面、それが巷で多いのは恋愛等、違う要素で自我が興奮しているため「相手がどんな人物か(「誰か」も含みます)」自我が“わかって認識”しにくい環境だからです。

“わかっていても判断しがたい”と言い換えてもいいでしょう。「結婚の失敗2回、(介護の状態から見て)結婚の破綻1回。その間自分の娘の育児から逃げる事1回」これがおなたの母親の履歴になります。
「“わかっていても判断しがたい”中でそれは繰り返された」
しかも母親は自発的に相手を『選んで』います。

周囲の人にはその様子が見えていたので「その後、親戚から母が昔私を捨てたときのことなどを聞き」など判断は現実に即したものであり、あなたの判断より母親に対し批判的でしょう。そしてそれが記憶を呼び覚ますのは、今記憶として解釈している内容に無理があり、親戚の方の話が『事実に近い分説得力があり、自分の記憶に対する解釈が揺すぶられている』と考えてください。

いいかえると、自分でも「そうなんだろうか、いやきっと(無意識)」としてきっちりと何があったのかについての検証の無い記憶が“実は自分でも「こうじゃないのか?」”と思う範囲に戻ろうと意識のテーブルに上がっているのです。『死んだ母への恋しい気持ち』と表現されているように、あなたのお母さんへの気持ちは同情的で、「3人目、、お金も出さず、ひどい有様でした」にあるように『“善人”である母親を大事にしなかった人=悪人』的なくくりに意識が支配されています。個人個人の尊厳は家族に準拠するのではなく、あくまでも自分自身に準拠します。
「家族を大事にする」との人格は「家族だから」ではなく、「私は家族を大事にする人間を選択した」との個人の選択に責任を取るために行われ、先ず個人在りきです。その判断が、北欧にあるように「家族の介護を好望まず、自主独立を貫くために国も福祉でそれを支える」という選択もありえるのです(父親サイドを擁護しているのではありません)。

つまり、一定の冷静な判断無しに、まるで道徳的(これは道徳意識ではありません)な判断が「悪い人」として行われます。何故道徳意識ではないと言うのかといえば「この人物(父親)はこんな生まれでこんな人生を」という背景以上に「母親に対してどういう態度だったのか?」が他人(夫婦とは人生の契約を結んだ他人同士です)を評価する強い基準になっています。
ここから『これだけ強い感情的基準を背景に解釈されてきた過去が、その解釈の点で揺すぶられている』事があなたの自我についても当てはまる事がわかります。この強い感情がヴェールのように意識を拘束しています。

今あなたが感じている不安は、お子さんについて(今結婚されてお子さんがいるのですか?)ではありません。自分の母親に関しての道徳的な気持ちが修正されてしまっては(同時に、こんな人と思っていた母親のイメージが変わってしまいます)どうしよう、というものなのです。(今の自我から見ると、母親がそういうイメージから外れていく事は、母親を喪失すると誤解されるのです)

◎考えられる事は、この記憶の再解釈をさせないために、新たな現実で(まるで母親を守る兵士のように)自分の定義を今の状態に踏みとどまるために、考えもしない(錯誤行為で)結果を手に入れようとする事です。

ここで母親の辿った歴史と重なってきます。容易に幸せになり、自我に自由に考える時間を与えるのは、現在の保守的自我には脅威であり、なんらかの不幸に巻き込まれる事を錯誤行為(現実を見る目すら影響を受け)で無意識に誘導されがちになります。「まだまだ自分は、こんなじゃダメだ」や「なんていう酷い、許せない」等の気持ちに支配されている時、人は「自分の人生って、、」としみじみ考える事が不可能となるのです。

注意すべき点は、あなたがご自身の弟乃至妹を「子供」と呼んでいる事です。
あなたにとって家族とは「母子二人だけの濃密なイメージ」に固着しています、今でも今後の人生も「この母子」を人生のアイデェンティティーの中心にしてしまうなら、全てはこの『過去の母子の物語』の延長上で解釈されてしまいます。
母子にしても、当事者としてのイメージではなく「真実どんな人生だったのっだろう」と思う事こそ重い尊厳であり、感情的に結果が先に出てしまう事は、自我には考えるゆとりが無いという意味なんです。

つまり「お母さんはどんな人だったのか」を、

今後の事ですが、第三者の立場で聞いてくれる人と定期的に話すこと(或いはカウンセリング)が大事です。誰にでも「それは拘りすぎていないか?(心理学的な意味はわからなくても)」と感じる事が出来ます。その話に不快感があったとしても「私を非難しているのではなく、第三者として話に違和感を感じているのかな」と心構えがあれば、比較的冷静さを保てる筈です。
その第三者に結論を委ねる必要はありません(自分で想う事の枠に無制限で人は自由に想う事は出来ません、それがコアのアイデェンティティーです)その人の話を受けて「あなたが何を思うのか」が大事なのです。その中間的再解釈をどう心理学的に判断するのか、については、この掲示板でも構いません。この揺れは、非常に大事なきっかけですので、むしろ「記憶があるべき自然なものに戻ろうとしているんだ」と考えてください。
心療内科や、話を聞くボランティア等がありますが、「どこに行けば間違う」と考えないでください。「自分でこりゃ変だろと思ったら変えなきゃ」と、最初から思っておくことが一番大事です。選ぶ基準は「ちゃんと話をする時間があるのか」(5分では問題外)です。

重要な事です今不安に思われている「私も子供を捨てるのではないか」ですが。
“子供を”ではありませんよ。「彼を、彼女を」です。この人物との出会いは、運命なんですよ、それも天文学的な希少な確率で、おそらくその確率は数学的に計算もできないでしょう。「この人と家族として出会ったのか」とその体験を捕らえるなら、間違っても「捨てる」などの言葉は発想からも消失します。
379 Re:フラッシュバック? ちゃちゃ 2004/11/05 22:30
とりあえず、ここに書き込みをしただけでも、少し気持ちが楽になりました。
確かに親戚から聞かされる事実は、聞き入れがたい現実でした。
過去、みんなに、よくぐれなかった、という言葉を繰り返し言われてきましたが、聞いたことがもし本当なら、いえ、本当なのですが、自分でもよくぐれなかったと思います。
書き込みをしたときは、自分が壊れそうでした。波があって今は落ち着いているのですが。
私は子供たちをとてもいとおしいと思っています。そして母も私をいとおしいと思ってくれていたはず、でも、捨てたんです。

物心ついたころから母は私のほうを向いていなかったような気がします。だから、私は母に、私のほうを向いてほしかった。ある意味、母の最期、介護で2人きりでいたとき、はじめて母を独占できたと感じたのかもしれません。
しかし、それは否定されました。お前がいたからほかの人が付き添えなかったんだ、と。母は、私がシャワーを浴びに席をはずしたちょっとの間に死にました。3番目の家族たちの中で死んでいきました。ある意味これが一番堪えました。

そうそう、私は弟と書こうとして、あえて子供と書き直しました。私にとって2人は母を奪った敵、なのかも知れませんね。

今まで誰にもいえなかったことなので、こうやって、書き込んでいるだけで、なんとなくすっきりしてきます。先生の言っていること、わかるような、わかりたくないような、という感じです。そう簡単なことではないのでしょうね。
このままでは、すべての人を否定してしまいそうなので、心療内科を探してみます。本当に、ありがとうございました。
380 Re:フラッシュバック? kage 2004/11/06 15:00
整理しておきますね。(私は「先生」ではありませんよ、、強いて言うなら「所長」部下もいませんから、「kagewari」でいいんですよ。)

「捨てる」には所有していなければなりません。お子さんは間違っても親の所有物ではありません。しかし巷では「捨て子」に代表されるように、「親が子を捨てる」という表現がアリになっています。これは昔この国が家制度を持っていたからで、親はその「家長」という特権階級であり、その子供も、その家にどう属しているのか(つまり「捨て子」は、家に属せない人者への蔑称で、親に対しての非難ではありません)を表現するためのものでした。「ペットを捨てる」これは所有者の意識がありますね、そういう意味です。
古い恋愛ドラマにおける「私を捨てたのね」に関しても、優位にたつ立場の物が、絶対服従の側の人間との関係を「切って捨てる」ところから来ています、この背景は「切って捨てる側には、切られる側の人間との関係が深く無い」を前提とします、何故なら捨てる側も絶対服従に近い思いをその関係に持っていると前提が壊れるからです(両者が「捨てられる側」)なので、このケースを「別れる」と表現する事が定着しています。

あなたの母親は、その人生から「社会属性としての母親ではなかったのではないか」と見るのがむしろ自然で、彼女には社会的な母親という自分の立場を認識し選択する余裕はおそらく無かったと見るのが自然です。
つまり、捨てる事は彼女には不可能です。
親子関係を認知する基盤が自我に定着していないのですから。
「この女性は母にはなれなかった。そして、この女性は果たして母になろうとしていたのか?」。

では、「捨てた」に見えるのが、どうしても“現実的”なのは何故でしょうか?
彼女は自分の姿(子供時代を連想させるので)をあたなに投影し、自己嫌悪により自分自身を捨てたのです。
母親は自分自身の過去(過去=子供=自分の子供)から逃げたかったのです。

そこから逃げた後の彼女の行動がそれを証明しています。

「過去から逃げて新しい家庭を、」

これは母親に逃げてでも、守らなければならなかった葛藤が人格にあり、その脅迫(強迫)にさらされていたからだと言えます。つまり、あなたを残して逃げてしまおうとする動機や、介護についての彼女の発言も同じです。『自分自身の現実から逃げるためです。』過去からです。

二人の弟さんがお母さんを奪ったというより、お母さんは次から次へと、自分の過去から逃げるために、空想の家族(逃げ場所)が必要だったのであり、むしろ弱い立場(捨てられる側、依存する側=「被る」)であったのは彼女の方だったと見るべきでしょう。そして次の脱出のために、その家族が本当に彼女の存在を歓迎する「幸せな家庭であると彼女の無意識には、都合が悪かった」とも言えます。その(自分を見失った)錯誤行為の連続の人生だったのだと、「或るひとりの女の人生」を見つめてみてください。

「私は母に、私のほうを向いてほしかった」
この言葉をデ・コードしてこの返信をまとまめしょう

「母は過去から逃げるために女でいたかった。それでも私は、この人に母でいて欲しかった。」
381 Re:フラッシュバック? ちゃちゃ 2004/11/08 10:09
最後の一文を読んで、涙が出てきてしまいました。
まさにそのとおり、女でいたかった母、でも、この人に母でいてほしかったんです。当たり前のように、家に帰ると母親が待っている、何をしてくれなくてもいい、私を待っていてくれる母でいてほしかった。母を責めたくなかったので、いろんな人に責任を転嫁しているんですね。。。本当は私を待っていてくれる、優しい母をこんなにしたのは誰だ、って。
私の中で母の行き方を理解するには、まだ心の葛藤があります。そう簡単なものではないんですね。ただ、今回、ほんとうに、考え方を変えるきっかけになったような気がします。この状況から脱出するのは私の考え方次第なんですよね。。。


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